海外行きの飛行機のチケットを出発の4日前に取ったのは初めてだった。しかも、アメリカはESTAの申請もある。かなりギリギリだった。急遽決まったLAの旅は、決断に至るまでにもシンクロニシティの連続だったけれど、飛行機に乗ってからもそれは続いた。
直行便の飛行機が高かったので、仁川空港でトランジット。関空から仁川空港まであと1時間ほどで到着、というところである映画に目が止まり、なんとなく見始めた。
冒頭から自分に言われてるようなメッセージに思えて、巻き戻しては一時停止して、セリフをiphoneのメモ帳に書き留めていった。
「我が道を進みなさい」
「今日は大切な日よ」
「この先の人生が決まる」
「運命に救われるかもしれません」
「運命を受け入れることを忘れないで」
「複数の過去や未来が存在する」
「選択するたび次々と別の世界が生まれる」
「偶然なんかじゃない僕は導かれた」
「僕らは宇宙の力で結ばれてる」
あっというまに仁川空港へ着いてしまい、残りは帰りの飛行機の楽しみに取っておこうと思っていた。なぜなら、経験上、日本の航空会社か日本発着の便でない限り、機内のコンテンツは日本語字幕に対応していないからだ。
仁川空港からロサンゼルス国際空港へと向かう飛行機の中で、私は驚いた。この映画にだけ、日本語字幕があったのだ。「こんなことあるの!?」あの時のあの興奮を、誰かと共有したくて仕方なかった。迷わず続きを見始めた。主人公の男の子が言った。
「僕がなりたいのは詩人です」
涙が溢れた。
・・・つづく