ある夜、お好み焼きと神戸焼きの違いについて話題になった。長崎出身の私は、神戸焼きというものが存在するなんてそもそも知らなかった。お好み焼きについて調べてみると、「大阪・広島・神戸」と3つの種類があるようだ。「神戸焼きを食べてみたい!」という話になり、yokoちゃんの家に75インチのテレビが届くからという理由で、ある日突然決まった神戸焼きパーティ。
神戸焼きは、薄く生地を引いたあと、ひと摑みほどのキャベツと天かす、豚肉を並べ、ひっくり返して両面をこんがり焼いて食べる薄焼きスタイル。仕上げに、「ばらソース 旨辛 どべ (ウスターソースを作った際、底に沈殿したものだけを使用たソース。販売元の地元 神戸・長田のお好み焼き店にしか卸しておらず、一般には販売されていない)」があれば最高だ。届いたばかりの大きなスクリーンで、La La Landを流しながら、神戸焼きに5kgの鶏ガラを12時間も煮込んだ出汁で作られたお鍋と豪華な会になった。yokoちゃんは飲食店を3店舗経営しているので、食に対する本気度が違うのだ。それでかつ、神戸出身。La La Landより、みんな目の前の手さばきに夢中だった。一通り食べて落ち着いた頃、ふと大きなスクリーンに目をやるとこんなセリフのシーンだった。
運命の誰かが来てるかも
あなたを成功へ導く人
夢見た場所へ行けるかも
誰かと出会い
飛び立てるかも
高い頂へ
もしあなたに準備ができてるなら
字幕版で流していたので、このタイミングで目に止まったということに、何かしらのメッセージがあるような気がして、”運命の誰かに出逢うには私にも準備が必要だ” そんなことを思ったりした。
それから、映画の話になって、「ONCE UPON A TIME HOLLYWOOD」「JOKER」「Green Book」「BlacKkKlansman」「Us」「GET OUT」そして「パラサイト 半地下の家族」などがよかったと教えてもらった。久しぶりに映画でも観たいなぁと思っていた1月19日。
「一緒にパラサイト観に行く?」を全然違うところから誘われたのは、その9日後のことだった。今年は本当に引きが強い。思ったことがすぐにやってくる。
「パラサイト 半地下の家族」はカンヌ国際映画祭で、審査員満場一致で「パルムドール」を受賞した韓国映画。予測不能な展開に、終始感情が揺さぶられる、盛りだくさんの映画だった。観終わった後、キム一家が暮らす半地下の家も、町も、パク社長一家が暮らす大豪邸もぜんぶセットだということを知って、さらに衝撃。
大雨が降った後、避難先の体育館で、キム一家のお父さんが息子に言ったセリフが印象に残った。
絶対に失敗しないコツを教えてやろうか。それは無計画でいることだ。計画を立てると必ず計画変更しなければならないことが出てくる。無計画でいれば、どんな失敗に見えることも失敗ですらないんだ。
それは、「予測しない」ってことに似ている。