一面英語で書かれた文字に、異国からの手紙だと錯覚した。他に目に止まったのはROMAと印刷された文字とマティスの「リュート」という素敵な絵の切手。消印はクリスマスイヴだった。ローマの教会で手に入れたというポストカード。そういえば、数年前、バックパッカーをしていたサイミちゃんの旅先から届く葉書が楽しみだった。その写真やデザインや切手にときめいた。

“One day we will hang out somewhere abroad again★”
外国がこんなにも遠くなる日が来るなんて思ってもいなかった。あんなに行き来できていたことが夢のよう。でも、またいつか。教会の写真を見つめながら、今はただ祈るばかり。
大晦日に届いたのは、みかちゃんからの真っ赤な封筒。私に届いた2020年最後の手紙になった。この手紙が書かれたのは12月30日。この日は2020年最後の満月で、風の時代最初の満月。気づけば片手に収まるほどの回数しか今年は会えなかったし、お互いの近況をいちいちやりとりする関係でもないけれど、心はいつも側にいてくれるような、私にとってみかちゃんはお月様のような存在。

年末の慌ただしい時に時間を割いて、伝えてくれた気持ちに涙がこぼれそうになった。だから私は、2021年最初の思いを彼女に伝えたい。
そして、改めて思う。
思いは伝えよう。ふと誰かを思い出したり、頂いたお酒が美味しかったり、夢に出てきたり…心が動いた時、それを伝える相手がいるのであれば。
そして、私はもっとハッとさせられるような面白いお手紙を出してゆきたいと思います。