LAの洗礼

私がしたいことは、行ったことがない場所に行くこと。

写真は11月にLAに行った時に撮ったもの。

初日はノープランで、SANTA MONICA BEACHへ行って、旅の疲れや時差ボケをのんびり癒そうと思っていた。ロサンゼルス国際空港からLAX STATIONまでは無料のシャトルバスに乗って、15分ほど。そこから、SANTA MONICA BEACHまで1本で行けそうだった。空港でwifiが繋がっているあいだに、Google Mapでビーチまでのルートとホテルまでのルートを調べ、スクリーンショットして、バスに乗った。

LAX STATIONは、ポツンとあった。
“想像と違う…。” コンビニのようなお店もなければ、wifiも飛んでいない。こんな時、日本の便利さを噛みしめる。とりあえず、電車に乗ろうと思い、改札へ向かうとTAP CARDという、日本で言うPASMOやICOCAみたいなカードが必要のようだった。近くに自動販売機があり、クレジットカードを入れるもエラーで返ってくる。何度試しても、他のカードを試しても、結果は同じだった。残念なことに、私はまだ両替をしていなかった。誰かがお金を貸してくれるとも思えず、もうどうしようもなくなって、シャトルバスに乗り、空港へ戻って両替をすることに。”よし、これでだいじょうぶ” そう言い聞かせて、またシャトルバスに乗って、駅へ戻り自動販売機へ。”カードがダメなら現金だ” この安心もまた一瞬で打ちのめされた。自動販売機の中にお釣りがないというエラーが出たのだ。隣にいた黒人のおにぃさんも私と同じ理由で、TAP CARDを買えずにいるようだった。私たちは同士のように微笑みあいながらも、助け合うことができずにいた。

駅員さんのような人もおらず、しばらくLAX STATIONで絶望した。

あたりを見渡すと工事現場にあるコンテナハウスのような小さめのボックスを見つけて、その中にぼんやりと人影が見えた。黒いビニールでガラスが覆われていて、中はあまり見えなかったけれど、コンコンとノックをすると、黒人の女性の警備員さんのような人がいた。つたない英語と身振り手振りで説明するも、「カードで買えるでしょ」と冷たくあしらわれてしまった。

“ちーん…また自動販売機との戦い…。”

どれくらいここにいただろう。同じことを何度も繰り返している間に、それを見兼ねたさっきの黒人の女性が来てくれた。クレジットカードを渡して、代わりにやってくれることに。カードを挿入した際に、指で中まで押し込んだままにしないと機械が反応しないようだった。そんなこんなで、ようやくTAP CARDを手にし、改札を通って電車に乗った。同士だった黒人のおにぃさんも同じ車両に乗ってきて、私たちはもう一度微笑みあった。今度は心から安心して。

景色を眺めながら、ふと思う。
“あれ、方向合ってる?”
Google Mapで現在地を確かめるとビーチとは真逆の方向へ向かっていた。やっとの思いで手にしたTAP CARD、何の迷いもなく乗った電車。また後戻りする元気が私にはもう残っていなかった。電車のルートを辿ると、幸い宿泊先の近くの駅を通ることが分かり、チェックインの時間には早いけど、このままホテルへと向かうことに。

あとになって知ったのだけれど、LAでは電車もバスも[METRO(メトロ)]と呼ぶらしい。SANTA MONICA BEACHへ行くには、バスに乗らなければいけなかったのだ。METRO = 地下鉄 と思い込んでいた私。この写真のバスにもMETROと書いてある。

Vermont / Athens という駅に着いたら、あの黒人のおにぃさんも同じ駅で降りた。偶然がうれしくて「この近くに住んでるの?」と話しかけた。駅の階段を登っているあいだだけ話をして別れた。

ちゃんといいこともあるのだ。